モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)
映画を観た後にもっと深く知りたくなり、原作を読みました。映画で取り上げられていた他にもたくさんのエピソードがあり、エルネストとグラナードと共に旅を楽しむことができました。読み終わると同時にまだ見ぬ南米大陸への憧れが募りました。
ただ、翻訳作品なので仕方ないのかもしれませんが、日本語の文章としていまいちよくわからない表現が多く、理解に苦しむ場面もいくつかありました。映画を先に観た方が想像しやすいかもしれません。
映画と原作を鑑賞した今、エルネスト・チェ・ゲバラが何を求めて革命という行動に走ったのか、その心の動きの一端を感じることができ、私の心も少なからず震える思いです。キューバ革命という行動が正しかったのか、それはわかりませんが、少なくともその精神が生まれていく過程での彼の心の純粋さに、私の心は動かされました。
チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記
ラテンアメリカの革命家チェ・ゲバラが青年期1951年から52年にかけ、友人とともに故郷アルゼンチンを出発してチリ、ペルー、コロンビアを横断、超貧乏旅行をした記録である。この本を原作とした映画『モーターサイクルダイアリー』を見て、私は大いに感動した。有名革命家の前史というより、ある青年の素敵な破天荒の旅を記録してあり、社会に目覚める青年の一瞬が描かれており、今も昔も変わらないだろうラテンアメリカの素晴らしい自然が描かれてあったからである。私は早速この本を捜し求めて読んだ。
二人の医師の卵がほとんど無一文で旅をしたこと、それぞれの国で庶民の善意やしたたかな話術でもって口糊をしのいだこと、チリを通る辺りから次第と社会の底辺に向けて、ラテンアメリカの歴史についての感想が多くなったこと、彼の学問の専門であるハンセン病施設の訪問を実行していること、などは映画と同じ。細部はいろいろと違ってはいるが、あの映画に流れる精神は同じであった。それは同時にあの旅が本物であった証でもある。私は改めて「貧乏旅行」への意欲がふつふつと沸いてきた。
同時に私はこの本で初めてチェ・ゲバラという人物を知り興味を覚えた。映画にもあったが、彼はハンセン病施設で誕生日を祝ってもらったときこのような挨拶をしている。「はっきりしない見せかけの国籍によってアメリカ(ラテンアメリカ諸国)が分けられているのは、全くうわべだけのことだと、この旅のあとでは前よりももっとはっきりと、考えています。」彼の演説に大きな拍手が起こったと彼は日記に書いてある。ラテンアメリカの統一。彼はキューバ革命だけの革命家ではなかったのだ。
モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]
ゲバラへの知識と言えば、キューバの革命家、
グッズとしてのゲバラ、のみでした。
南米のロードムービーと言うこともあり、旅好きなので
何の気なしに見に行きましたが、すばらしい作品。
今まで見た映画の中でも1,2を争います。
医学生だったエルネストは、年上の友人、アルベルトと共に、
古びたバイクで南米を放浪する。
その旅で出会った様々な人々(民族)、ハンセン病の
権威の先生・患者たちと触れ合ううちに、
エルネストは、自分の将来の方向性を感じとっていく・・・
エルネストのすごく人情にアツイ姿にはココロ打たれます。
特に、ハンセン病療養所での行動には、革命家としてリスペクトされる
彼の資質を、強く感じました。もちろん、アルベルトのたまに
ズッコイですが明るい行動の中にも、強い志を感じさせられます。
映画は90分がベストなのですが、2時間越えに気づかない程夢中になりました。
自分も何か、行動に出たい。旅に出たい。
すごく感銘を受けた、そんなゲバラのことをもっと知りたい。
そんなキモチでいっぱいになります。
話だけでなく、俳優さんたちもすばらしい演技でトリコになります。
モーターサイクル・ダイアリーズ コレクターズ・エディション [DVD]
キューバ革命の英雄の一人「チェ」となる以前の若き日のエルネスト・ゲバラ、そしてその友人アルベルトの二人がオンボロバイク「怪力号」に跨り、広大な南米大陸を縦断するロードムービーです。
アンデスの高原、古代先住民の遺跡、アマゾン川、そして南米の数々の都市を巡る過程で、向う見ずな二人の男達、とりわけエルネストはこれから自らが進むべき道の指針となる何かに気づきます。実はこの旅において、エルネストは将来の敵となる「アメリカ合衆国」を意識し始めることにもなるのですが、本作品では「合衆国」という存在に敢えて触れないことにより、青年の成長に焦点を絞った、よりまとまりのある映画に仕上がっています。
旅すること、それ自体が人生を変えてくれるのではありません。旅で出会う景色や人々、そして過酷な現実に対峙した時の自らの気概や好奇心、そして情熱こそが、人生を変えるのだということをこの映画は伝えてくれます。腰の重い方であっても、彼らの旅を体験すれば、1万キロの大旅行とはいかずとも、日常から脱するちょっとした小旅行への誘惑にかられるのではないでしょうか。また、私自身そうでしたが、旅行好きな方にとっても、作られた「旅行」とは異なる本物の「旅」への憧憬と意欲をかきたてられることは間違いないでしょう。
ゲバラ役を努める主演ガエル・ガルシア・ベルナルの演技が秀逸。照れを隠す際のバツの悪い苦笑い、時折見せる鋭く陰影のある表情で、まだ頼りないが、徐々に何者かへ脱皮し始める青年を見事に演じきっています。加えて、アルベルト役のロドリゴ・デ・ラ・セルナが、ラテン男そのままを体現する陽気なノリで、波乱万丈の旅に彩りを添えています。
本作品に共感した方には、戸井十月著の「チェ・ゲバラの遥かな旅」をお奨めします。映画とはまた違った視点から若きゲバラの旅とその後が描かれ、この英雄の真実の姿をまたひとつ知ることができます。